妊婦さんが便秘になる原因の5項目

妊婦さんが便秘になりやすい原因

厚生労働省が行った国民生活基礎調査(平成25年)では、便秘の症状があると自覚している女性の総数は男性よりも多いという結果が見られました。
便秘に悩む女性は多いようですが、その中には妊娠してから便秘の症状が出るようになったという人も少なくないでしょう。

それは、妊婦の身体に起こる変化が便秘の原因となることがあるため。
妊婦の便秘には、妊婦さんならではの原因があるのです。

原因① 黄体ホルモンの影響

黄体ホルモンという言葉に聞き覚えはあるでしょうか。
女性ホルモンといえば聞き慣れているかもしれません。

黄体ホルモンは、プロゲステロンとも呼ばれる女性ホルモンの一種です。
女性ホルモンには、エストロゲンとも呼ばれる卵胞ホルモンとこの黄体ホルモンのふたつの種類があり、これらがバランスよく分泌されることで女性の身体をコントロールしています。

ふたつのうち、黄体ホルモンが担うのは、妊娠しやすい身体の環境づくりとその継続です。
子宮内膜をふかふかの状態に整えて受精卵の着床を手助けしたり、その後も妊娠を継続するために環境の調整を行います。

このように黄体ホルモンは妊娠には欠かせないものです。

妊婦さんは妊娠後期をピークに、黄体ホルモンの分泌が多い状態が続くことになります。

妊娠前に基礎体温をつけた経験がある人は、低温期と高温期があったことを覚えているでしょう。
黄体ホルモンには基礎体温を上げる作用があり、分泌量が増えている時期のグラフは高温期を示します。
高温期、女性の身体と心には様々な変化が起こりますが、それはこの黄体ホルモンの影響だったのです。
同じように、黄体ホルモンは妊婦さんの心身にも様々な影響を及ぼし、そのうちのいくつかが便秘の原因になりえます。

では、黄体ホルモンのどんな働きが、便秘を引き起こす原因になるのでしょう。
それは、
・筋肉の収縮を抑制する働き
・水分を体内に蓄えておこうとする働き
のふたつです。

妊娠の継続を助ける黄体ホルモンは、流産を防ぐために子宮筋の収縮を抑制する働きを持っています。
これがひとつめの「筋肉の収縮を抑制する働き」です。
実はこの働きは、子宮の筋肉だけでなく排便に使われる筋肉にも作用してしまうのです。

腸は収縮と弛緩を繰り返して、腸の中にある栄養の吸収が済んだ食べ物…つまり便として体の外に出すべきものを、出口である肛門まで運んでいきます。
これが排便に欠かせない腸のぜん動運動と呼ばれる働きなのですが、筋肉の収縮が抑制されてしまえば、このぜん動運動もうまく行われません。

便を肛門まで運び体外に押し出すという働きが低下するために、便秘になってしまいます。

ふたつめの「水分を体内に蓄えておこうとする働き」ですが、身体を妊娠しやすい環境に整える役割をする黄体ホルモンは、妊娠やその継続に備えて水分や栄養を体内に蓄えようとします。
このとき、栄養を蓄えようとするため食欲が増進し便のカサは増しますが、一方で便に含まれる水分もまた、体内に蓄えておこうとする作用が働き吸収されてしまいます。

水分を奪われた便は硬く、押し出すのが大変に。
カサの増えた便の柔らかさが足りずにうまく排出できなくなり、便秘の原因となります。

原因② 大きくなったおなかの影響

おなかの中の赤ちゃんがすくすく育ってくれるのはとても嬉しいことなのですが、妊婦さんの大きくなったおなかも、便秘の原因となる場合があります。
妊娠期間が進むにつれて、おなかの中では胎児の成長と共に子宮が大きくなっていくわけですが、子宮の周囲にある器官はその影響を受けてしまいます。
まわりの器官は、大きくなった子宮によって圧迫を受けるようになるのです。

特に子宮と腸は位置が近く、圧迫による影響も大きくなりがち。
圧迫されて狭くなった腸管では、便がスムーズに通り抜けられません。
また、圧迫を受けた状態が続くと、刺激に対して反応が鈍くなったり血流が悪くなるなどしてしまいます。
様々に出た影響によって腸の働きが悪くなり、便秘の原因となるのです。

原因③ つわりなどによる食生活の変化の影響

妊婦さんの便秘の原因には、黄体ホルモンの分泌が増えたり、子宮が大きくなったりという以外にも、日常生活に関係する変化によるものもあるでしょう。

一般的な便秘の原因として、まず思い浮かべるのは食生活の乱れという人は多いかもしれません。
特に腸内の環境を整え、便を排出しやすい状態に調節してくれる食物繊維が不足すると、便のカサが増えなかったり、硬くなったりして、スムーズに外に押し出せず便秘になる場合があります。

普段は食事に気を使っているという人も、妊婦さんになるとなかなか思うように栄養のバランスが取れた食事ができなくなるかもしれません。
妊娠初期から症状が現れるつわりは、妊娠によって食生活が変化する大きな原因のひとつです。
つわりの症状も程度も人によって違いますが、吐き気があれば当然いつもどおりの食事は喉を通りませんし、口にできる食品が限られてしまう時期がある人もいます。
栄養バランスの整った食事ができれば一番ですが、つわりの間は食べられるものをなんとか食べて乗り切ったりもするでしょう。
そういった食欲不振は、食物繊維が不足するなどしてうまく排便が行われない状態を引き起こし、便秘の原因となります。

また、つわり以外にも、妊婦さんの食生活が変化する原因は考えられます。
妊婦さんの生活は、妊娠前と同じようにいかない点もいろいろと出てくるはず。
大きなおなかで動き回るのは大変だったり、体調によっては安静にしていなければならなかったりして、運動不足になることもあるでしょう。
妊娠生活の中で感じる不安やストレスで気分が沈む場合もあるでしょう。
そういったことが原因で食欲がわかず、食事量が減ってしまうという場合もあります。

食べる量が少なくなると便のカサが減ってしまうので、腸への刺激が足りず、排便のための働きも促されなくなってしまいます。
腸が活発に動かなければ便が出ずに便秘になります。
そして、実は便秘になるとそれがまた食欲不振の原因にもなるのです。
食べないから出ない、出ないからまた食べる気がしないという悪循環も心配です。

原因④ 運動不足による筋力低下の影響

おなかが大きくなってくると身体を動かすのも大変です。
また、おなかの赤ちゃんを心配するあまり、妊婦さんは運動不足になりがちです。
しかし、実は運動不足も便秘の原因のひとつ。
もちろん妊婦さんの体調や胎児の状態によっては安静にしなければならない場合もありますし、転倒などの心配がある激しい運動はオススメしませんが、妊娠中であっても適度な運動は大切なのです。

ではどうして運動不足が便秘の原因になるのでしょうか。
それは、運動不足によって起こる筋力の低下が影響しているのです。

スムーズな排便は、腸の活発なぜん動運動によって支えられています。
実は、このぜん動運動を担っているのは筋肉。
腸のような消化器官にも筋肉があり、ぜん動運動も筋肉の働きで行われているんです。

こういった筋肉は平滑筋といって、自分の意思で動かそうとして動かせる筋肉ではありませんから、意識したことがある人は少ないかもしれません。
しかし、スムーズな排便に筋力は不可欠。
たとえば便を体外に出そうとおなかに力を入れて「うーん」といきむとき、使われているのは腹筋です。
そして、いきむことで腹筋が使われると腸が刺激され、その刺激がぜん動運動を促します。
これが腸の平滑筋が動くための仕組み。
トイレでいきむとき以外でも、腸に活発に動いてもらうために、普段から腹筋を使うようにするのは大切なのです。

このように、スムーズな排便のために筋肉の働きは欠かせません。
そこで心配されるのが、妊婦さんの運動不足です。
運動量が不足すると起こるのは、筋力の低下。
腹筋が衰えるといきむ力が弱くなる上に、ぜん動運動促進のサインとなる腸への刺激を送ることもできなくなります。
腹筋の筋肉量と腸の平滑筋の筋肉量は比例する傾向があるともいわれます。

運動不足による筋肉の衰えは、腸のぜん動運動の低下につながり、便をスムーズに体の外に押し出す力が低下するので、便秘の原因になってしまうのです。
排便に筋力が必要なんて、あまり意識していなかった人も多いかも知れませんね。
ただ、慌てて腹筋を鍛えようと無理な筋力トレーニングを行うのはオススメではありません。
妊婦さんが自己流の筋力トレーニングを行うのは心配な面もありますので、注意が必要です。

原因⑤ マタニティブルーなど精神状態の影響

ストレスなど精神状態の乱れも便秘につながる原因のひとつです。
それは、自律神経のバランスが崩れてしまうから。

自律神経には交感神経と副交感神経があり、生きるために必要なたくさんの器官の働きをコントロールしています。
活動を活発にしたり、反対に低下させたり、収縮させたり、弛緩させたり。
ふたつの自律神経がバランスよく働き、各器官に指令を出すことで、各器官はそれぞれの役割を適切に果たすことができるのです。

そして、腸を含む消化器系の器官が活発に活動するよう指示を出すのは副交感神経の役割。
ところが、ストレスを感じている状態では、副交感神経の働きが悪くなってしまいます。
副交感神経がきちんと指令を出せなくなれば、腸も適切な活動をすることができません。
そうすれば腸のぜん動運動にも乱れが生じ、運動が低下したり、反対に過剰になるような場合もあります。

ぜん動運動が低下すれば当然排便はスムーズに行われず、便秘につながります。
反対に、過剰に活発になってしまったとしても便秘は起こるのです。
ぜん動運動は収縮と弛緩の繰り返しですが、過剰な収縮は腸の痙攣状態を引き起こします。
痙攣した状態では正常に便を運び、体外に押し出すことができず、便秘になってしまうのです。
ストレスから起きる便秘は、このような痙攣性便秘と呼ばれるものも多くなります。

マタニティブルーといわれるように、妊婦さんには気持ちが落ち込んだり情緒が不安定になる時期があります。
おなかの中に大切な命を預かっているという状況は、まわりが思うより重い責任を感じたり緊張したりするもの。
さらに産後の育児や生活に思いを巡らせて、いろいろと不安になってしまったりもするでしょう。
妊娠中は、ストレスを感じやすい時期といえるかもしれません。
こういったストレスが、自律神経のバランスの乱れを引き起こし、便秘の原因となる場合があるのです。

実は先に紹介した黄体ホルモンも、精神状態を不安定にする原因になっている場合があります。
黄体ホルモンが多く分泌されるようになる時期は、交感神経の働きの影響でイライラや激しい気分の浮き沈みが起こる時期。
妊婦さんの精神状態が不安定になるのは、女性ホルモンの影響もあるようです。

運動不足から来るストレスやつわりの重さから来るストレス。
黄体ホルモンの影響だけでなく、妊婦さんの精神状態の乱れは他の便秘の原因とつながっていることも。
そして便秘になってしまうとそれがまたストレスを感じる原因になるという悪循環も心配です。

ホルモンバランスの変化、大きくなるおなか、つわり、運動不足、不安定になりがちな精神状態…。
妊婦さんの身体は便秘になりやすい環境にあるといえるでしょう。
しかし、おなかの中にひとつの命が息づいているのですから、妊娠によって身体に様々な変化が起こるのは当たり前のことです。
思い悩まず、便秘の解消に向けて自分のペースでできることに取り組んでみてください。

投稿日:2017年5月16日 更新日:

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